滞在患者は500万人。女性特有の病気“子宮脱”とは?正しい治療を知ろう
女性の骨盤内にある膀胱、子宮、直腸などが本来の位置から下がり、最終的に膣から出てきてしまう「子宮脱」という病気があります。症状の軽いものを含めると、出産経験者の約半数に起こる病気で、決して他人事とはいえません。ここで正しく知っておきましょう。
子宮脱の原因と起こりやすい人
本来、骨盤内の臓器を支えているハンモック状の靱帯が、切れたり伸びてしまったりすることや、骨盤底筋郡の筋力が衰えることで、子宮脱が起こります。
出産は、大きな子宮を支えるために人体に負荷をかけますし、骨盤内を赤ちゃんが通るために骨盤底筋群を傷つけやすく、繰り返されるほどダメージが重なります。症状が現れるのは、加齢によって女性ホルモンのエストロゲンが分泌低下したときが多く、40代後半以降で出産を3回以上経験している人は子宮脱のリスクが高いといわれています。
他にも、便秘や肥満、立ち仕事や力仕事は、骨盤への負荷が大きく、子宮脱を引き起こすことがあります。
子宮脱のステージ
子宮本体がどれだけ下がってきているかにより、ステージ1~4に分類されます。
<ステージ1>
子宮が膣の入口部分から1cmまで近づいている「子宮下垂」という状態。下腹部や膣内への違和感がある。
<ステージ2~3>
膣の入口1cm前後以内に、子宮の入口の部分が下りてきている「不全子宮脱」という状態。子宮に尿道・膀胱が圧迫され、排尿障害が現れる。
<ステージ4>
子宮が膣から2cm以上露出している「全子宮脱」という状態。膀胱まで巻き込まれて下りてきてしまう「膀胱瘤」が見られることもある。その場合、腎臓への負担も起こる。
子宮脱の治療
子宮脱になると、様々な器官を圧迫することで、排せつに障害を起こす他、子宮頸部が下着と擦れて炎症・潰瘍を起こします。命に関わる病気ではありませんが、早めに受診して治療を受けることが大事です。
ステージ1~3なら、ペッサリーリングというシリコン製のリングを膣内に挿入して、下垂した子宮などの臓器を骨盤内に押し上げます。ステージ4では、手術が必要になります。
デリケートな部分だけに、受診を躊躇してしまう人も多いのですが、放っておけば不快感に縛られますし、悪化していきます。思い当たる節があったら、すぐ受診しましょう。