「おしゃれになりたいけれど、何から手をつければいいのか分からない」。初心者の方が何から始めるべきか分からないままお店に行くと、たいてい何も買えずに帰ってくることになります。選択肢が多すぎて、基準がないまま比べることになるからです。
大切なことを先にお伝えします。おしゃれは、生まれつきのセンスではなく順番の問題です。やることには順序があり、その順番どおりに進めていけば、少しずつ整っていきます。今の服装を否定する必要もありません。すでに持っている服の中に、使えるものはたくさんあります。
この記事では、その順番を4つのステップに分けて説明します。サイズを合わせる、色数を絞る、手入れをする、少しずつ足す。この順に進めてください。

初心者が何から始めるかは順番で決まる
服装が整って見える人と、そうでない人の差は、実は派手さや値段ではありません。サイズが合っていて、色がまとまっていて、手入れがされている。この3つが揃っているかどうかで、印象はほとんど決まります。
逆に言えば、この3つを整えないまま新しい服を買い足しても、印象はあまり変わりません。まずは足元を固めてから、少しずつ足していく。この順番で進めるほうが、結果的に近道になります。
ステップ1:サイズを合わせる
最初にやることは、買うことではなく「サイズを確認すること」です。手持ちの服を鏡の前で着てみて、次の3か所を見てください。
見るべき3か所
- 肩:トップスの肩の縫い目が、肩の骨の先端に乗っているか。外に落ちていれば大きすぎる
- 丈:トップスの裾が、腰骨からお尻の半分くらいまでに収まっているか
- 幅:脇の下に指が2〜3本入る程度のゆとりがあるか。ぱんぱんでも、ぶかぶかでもない
パンツなら、裾が靴の甲に軽く触れる長さかどうか、たるみが何本もできていないかを見ます。丈が余っているだけの服は、裾上げに出せば使える一着に変わります。数千円の直しで、手持ちの服が生まれ変わることは珍しくありません。
サイズの確認には、頭から足元まで映る鏡があると便利です。
試着で確認すること
店頭で試着するときは、その場で立って見るだけでなく、腕を上げる、しゃがむ、歩く、という動作を試してください。動いたときに突っ張る服は、家に帰ってから着なくなります。
自分のサイズが分からない場合は、メジャーで肩幅・胸囲・ウエスト・股下を測って、スマートフォンにメモしておいてください。通販で選ぶときの基準になります。
ステップ2:色数を絞る
サイズの次は色です。ここは、いちばん効果が出やすい部分でもあります。
全身で3色までに抑える
コーディネートで使う色を3色までに抑えると、それだけでまとまって見えます。面積の広い順に、ベースの色・メインの色・差し色と役割を決めておくと考えやすくなります。
| 役割 | 面積 | おすすめの色 |
|---|---|---|
| ベースカラー | およそ6割 | ネイビー、グレー、ベージュ、黒 |
| メインカラー | およそ3割 | 白、オフホワイト、淡い色 |
| アクセントカラー | およそ1割 | バッグや靴、スカーフで加える |
まずはベーシックカラーから
黒・白・グレー・ネイビー・ベージュは、互いに組み合わせやすい色です。この5色の中から選んでいけば、どれとどれを合わせても大きく外れません。柄物や明るい色に挑戦するのは、ベーシックがそろってからで十分です。
差し色は小物で入れる
服そのものを鮮やかにすると、合わせるものが限られてしまいます。色を楽しみたいときは、バッグ、靴、スカーフ、靴下といった面積の小さいところで加えると失敗しにくくなります。


ステップ3:手入れをする
ここは見落とされがちですが、いちばん費用対効果が高い部分です。新しい服を買うより、今ある服を整えるほうが印象が変わることは珍しくありません。
今日から見直せる4か所
- 毛玉:ニットやカーディガンの脇、袖口。毛玉取り器で数分あてるだけで見違える
- シワ:シャツやブラウスの襟、袖。衣類スチーマーをハンガーにかけたまま当てる
- 靴:かかとのすり減り、汚れ。靴用ブラシと靴クリームで整える
- においと黄ばみ:襟と袖口は、部分洗い用の洗剤で先に洗ってから洗濯機へ
人が見ているのは、服の値段ではなく状態です。毛玉だらけの高価なニットより、手入れされた手ごろなニットのほうが整って見えます。
そろえておきたい道具
次の道具があると、手入れが習慣にしやすくなります。どれも一度買えば長く使えるものです。
- 衣類スチーマー(ハンガーにかけたまま当てられるタイプ)
- 毛玉取り器(電動タイプが早い)
- 洋服ブラシ(ウール素材のホコリ落としに)
- 厚みのある木製ハンガー(肩の形を保つ)
- シューキーパー(革靴の形を保つ)
ステップ4:少しずつ足す
ここまで整ってから、はじめて買い足しに進みます。一度に全部そろえないことが大切です。
買う順番
- 靴:状態が悪いと全体が崩れる。まずここから
- ボトムス:毎日使う土台。ネイビーかグレーの落ち着いた色を1本
- 羽織り:ジャケットかカーディガン。上に一枚あるとまとまる
- トップス:白とベージュなど、合わせやすい色から
- バッグ:服がそろってから、全体の色に合うものを
一度にたくさん買わない
まとめて買うと、組み合わせを試す前に次を買うことになり、何が足りないのかが分からなくなります。1点買ったら、それを2週間ほど着回してから次を考えるくらいのペースが、結果的に無駄が出ません。

最初にそろえると回りやすいアイテム
何を買えばよいか迷ったときの目安です。これらは互いに組み合わせやすく、少ない点数でも着回しが効きます。
| アイテム | 色の目安 | 役割 |
|---|---|---|
| 白の無地シャツ | 白 | 一枚でも羽織りの下でも使える |
| ハイゲージのニット | ネイビー、グレー | 秋冬の主力。上品に見える |
| テーパードパンツ | ネイビー、グレー | きれいめの土台になる |
| ノーカラージャケット | ベージュ、ネイビー | 羽織るだけで整って見える |
| レザーのローファー | 黒、こげ茶 | 足元が締まる |
| シンプルなトートバッグ | 黒、ベージュ | 荷物が多い日にも対応 |
初心者がつまずきやすいところ
雑誌やSNSで見たコーディネートをそのまま真似すると、身長や体型が違うためバランスが崩れることがあります。参考にするのは色の組み合わせや形の考え方までにして、サイズは必ず自分に合わせてください。
もう一つよくあるのが、セールで安いからと買ってしまい、家に帰ると合わせる服がない、というパターンです。手持ちの何と合わせるかを決めてから買うという習慣をつけると、この失敗はほとんどなくなります。
シーンごとに「基本の形」を決めておく
毎朝ゼロから考えると疲れます。よく行く場面ごとに、基本の形をひとつずつ決めておくと、日々の判断がとても楽になります。
仕事の日
ネイビーのテーパードパンツに白のシャツ、上にカーディガンかジャケット。この形をひとつ決めておけば、トップスの色を替えるだけで一週間が回ります。
休日の外出
デニムやチノパンに、無地のカットソー、上にシャツかブルゾン。足元はスニーカーかローファー。色を3つまでに抑えるルールは休日でも同じです。
人と会う予定がある日
いつもの休日の形に、羽織りを一枚足すだけで印象が変わります。カーディガンをジャケットに替える、スニーカーをローファーに替える。この2点だけで、きちんとした場にも対応できます。
季節ごとに考えることを減らす
季節が変わると服も変わりますが、考え方は同じです。基本の形は変えず、素材と重ね方だけを入れ替えます。
| 季節 | 足すもの | 気をつけること |
|---|---|---|
| 春 | 薄手のシャツ、トレンチコート | 朝晩の気温差。羽織りで調整する |
| 夏 | リネン混シャツ、吸汗速乾のインナー | 冷房対策に薄手のカーディガンを一枚 |
| 秋 | ハイゲージニット、ジャケット | いちばん組み合わせやすい季節 |
| 冬 | ウール混コート、マフラー | コートが印象の大半を占める |
季節のはじめに、その季節の基本の形を一度作って写真に撮っておくと、来年の同じ時期に迷わずにすみます。毎年ゼロから考え直さない仕組みを作ることが、続けるうえでいちばん効きます。
続けるためのコツ
写真に残す
着た日の服装を、全身が写るように撮ってスマートフォンに保存してみてください。鏡で見るのと写真で見るのでは印象が違い、バランスの取れている日とそうでない日の差が見えてきます。
3か月ほど続けると、自分が繰り返し選んでいる形や色が分かってきます。それが自分の好みであり、買い足しの判断基準になります。
組み合わせをメモしておく
うまくいった組み合わせは、メモアプリに書いておくと朝の準備が早くなります。迷ったときに戻れる「定番の組み合わせ」を3つ持っておくと、忙しい日でも困りません。
色や形の考え方を一冊で整理しておきたい方は、初心者向けのファッションの本を手元に置いておくのも一つの方法です。
試してから買うという方法
似合うかどうか分からない形や色に挑戦したいときは、月額制のファッションレンタルを使うという方法もあります。買わずに試せるため、自分に合うかどうかを確かめてから購入に進めます。クローゼットを増やさずに、選択肢だけ広げられるのが利点です。
基本の考え方は、WEARのファッション初心者向けガイドやカジュログのファッション基礎解説でも、要素ごとに整理されています。
よくある質問
Q. 予算はどのくらい必要ですか
最初にお金をかけるべきなのは、実は服ではなく手入れの道具と、サイズ直しです。そこを整えてから、靴とボトムスを1点ずつ足していけば、少ない予算でも十分に変わります。
Q. 似合う色が分かりません
手持ちの服を顔の下に当てて、明るい窓辺で見比べてみてください。顔色が明るく見える色と、沈んで見える色があります。まずはこの2つに分けるだけで十分な手がかりになります。
Q. 体型が気になって選べません
体型は誰にでも個性があります。隠そうとして大きめの服を選ぶと、かえって全体が大きく見えることがあります。肩幅を基準にサイズを選び、気になる部分にゆとりのあるシルエットを探すほうが整います。
Q. 何着くらい持っていればよいですか
枚数より、組み合わせの数が大切です。トップス5枚とボトムス3本でも、色がそろっていれば15通りの組み合わせが作れます。まずは合わせやすい色でそろえることを優先してください。
Q. お店で店員さんに話しかけられるのが苦手です
「見ているだけです」と伝えれば問題ありません。試着したいときだけ声をかければ大丈夫です。オンラインで注文して自宅で試着し、合わなければ返品するという方法もあります。
Q. どのくらいで変化を感じられますか
サイズと色を整えるだけなら、その日のうちに見え方が変わります。手入れの習慣が身につくのに1か月ほど、買い足しで幅が出てくるのに3か月ほど、というのが一つの目安です。
まとめ
おしゃれになりたい初心者が何から始めるかという問いへの答えは、サイズを合わせる、色数を絞る、手入れをする、少しずつ足す。この4つだけです。センスや才能の話ではなく、順番に進めていけば少しずつ整っていきます。
そして、今日から始められるのは最初のステップです。クローゼットから服を出して、鏡の前で肩の位置と丈を確認してみてください。それだけで、次に何をすればよいかが見えてきます。


