肩の力が抜けていて、それでいてだらしなくは見えない。ナチュラルファッションは、そういう絶妙な位置を狙うスタイルです。リネンのワンピース、生成りのカットソー、ゆったりしたシルエットのパンツ。どれも一見すると簡単そうですが、実際に着てみると「ただの部屋着に見える」「野暮ったくなる」という声が少なくありません。
この違いを生むのが、素材の選び方とシルエットの設計です。この記事では、ナチュラルファッションのおすすめブランドを紹介しながら、それぞれの持ち味と、選ぶときに見るべきポイントを整理します。順位は付けません。自分の暮らしと予算に合うところを見つけてください。

ナチュラルファッションとは何か
ナチュラル系は、自然素材の質感と、体を締めつけないシルエットを軸にしたスタイルです。綿・麻・ウールといった天然繊維が中心で、色は生成り、白、ベージュ、カーキ、くすんだブルーなど、彩度を抑えた色が多く使われます。
「ゆるさ」と「だらしなさ」の境目
ゆったりしたシルエットが基本のジャンルだからこそ、全身をゆるくすると輪郭がぼやけます。どこか1か所は体に沿わせるか、素肌を見せるのが基本の考え方です。
- ワイドパンツを穿くなら、トップスは体に沿うカットソーにする
- ゆったりしたブラウスを着るなら、袖をまくって手首を見せる
- ロングスカートなら、足首が見える丈にするか、足元を軽い靴にする
もうひとつ効くのが素材のコントラストです。トップスとボトムスの両方がやわらかい生地だと全体がぼんやりしますが、片方にハリのあるリネンや目の詰まったコットンツイルを持ってくると、輪郭が出ます。
ナチュラルファッションのおすすめブランド
ネストローブ(nest Robe)
自然素材にこだわったシンプルで実用的な服づくりを続けているブランドです。「スローメイド」をコンセプトに掲げ、生産の大半を国内の自社工場で行っています。ナチュラルな中にも都会的な洗練が感じられるのが持ち味で、幅広い世代に支持されています。メンズラインのCONFECT(コンフェクト)も展開しており、詳細は公式サイトで確認できます。
定番はリネン100%のワンピースやリネンのワイドパンツ、コットンリネンのシャツなど。リネンの質感を軸にした構成なので、まずここから素材の感覚を掴むという入り方もできます。
サマンサモスモス(Samansa Mos2)
全国のイオンモールやショッピングセンター、百貨店など、200を超える店舗で取り扱われているブランドです。公式の通販サイトも運営されており、実店舗とオンラインの両方で手に取れます。古着の要素を取り入れたボーイズライクなアイテムを提案する新レーベル「SM2」も展開されています。
ギャザーの入ったブラウスやコーデュロイのスカート、ゆるいシルエットのカーディガンなど、比較的手に取りやすい価格帯で揃うのが特徴です。近くの商業施設で試着できる可能性が高いのも、初めて挑戦する方にとっては利点になります。
45R(フォーティファイブ・アール)
藍やインディゴの可能性を探ることをテーマにした日本のブランドです。全国各地の藍染め職人と組み、日本をルーツにしたコレクションを作っています。藍染めのカットソーや手仕事の風合いを残したニット、インディゴのワンピースなど、染めと糸の表情そのものが主役になるアイテムが並びます。詳細は公式サイトで確認できます。
価格帯は高めですが、糸からものづくりをするという姿勢がそのまま製品に表れています。1着を長く着て、経年変化を楽しむという方向を求める方に向いています。
アース ミュージック&エコロジー(earth music&ecology)
全国に店舗を展開するブランドで、複数のオンラインストアでも取り扱われています。ナチュラルな空気感を残しつつ、シーズンごとのトレンド要素も取り入れるバランス型です。やわらかいシルエットのブラウスやプリーツスカート、ロングカーディガンなど、日常で使いやすい構成になっています。
無印良品
ブランドの方向性としてナチュラル系を掲げているわけではありませんが、素材と色の傾向が近いため、組み合わせの土台として使いやすい存在です。オーガニックコットンのシャツやフレンチリネンのワンピース、太番手のカットソーなど、無地のベーシックが揃います。全国どこでも実物を確認できる点も強みです。

素材の見方|ナチュラル系はここで差が出る
リネン(麻)
通気性が高く、独特のシャリ感があります。シワが入りやすい素材ですが、それを風合いとして受け入れられるかが分かれ目です。洗うほどに繊維がほぐれ、柔らかくなっていきます。シワが気になる方は、リネン100%ではなくコットンリネンの混紡を選ぶと扱いやすくなります。
コットン(綿)
肌当たりが柔らかく、季節を問わず使えます。同じ綿でも織り方で表情が変わり、ガーゼはふんわりと、ツイルはハリのある落ち感が出ます。ナチュラル系では、無漂白の生成りのコットンがよく使われます。
ウール
秋冬の主役です。手編み風のローゲージニットは表情が豊かですが、目が粗いぶん引っかかりやすく、インナーが透けることもあります。着回しを重視するならミドルゲージあたりが扱いやすい選択です。
天然素材の服は洗濯で縮むことがあります。購入前に必ず洗濯表示を確認してください。「手洗い」「ドライクリーニング」の表示があるものは、家庭での洗濯機使用を避けたほうが風合いを保てます。価格帯や取り扱いアイテムは時期によって変わるため、購入時は各ブランドの公式情報をご確認ください。
手入れの手間を減らす工夫
ナチュラル系の服でよく聞くのが「洗うたびにシワが取れなくて、結局着なくなる」という悩みです。アイロン台を出すのが面倒で、クローゼットの奥に押し込んでしまうというのは、多くの方が経験することだと思います。
この負担を減らすには、道具でカバーするのが現実的です。ハンガーにかけたまま使える衣類スチーマーがあれば、着る直前の数十秒で見た目が整います。リネンのシャツやワンピースには、肩に丸みのある木製ハンガーを使うと、干している間に自重でシワが伸びます。
- 洗剤:天然素材にはおしゃれ着用の中性洗剤が向きます
- ネット:目の粗いニットは厚手の洗濯ネットに入れて摩擦を減らします
- 干し方:リネンは湿ったうちに手で叩いて伸ばすとシワが減ります
- ニットの収納:吊るさずにたたみ、通気性のある不織布ケースに入れます

色合わせの基本
ナチュラル系は色数を抑えるほど雰囲気が出ます。生成り・ベージュ・カーキ・くすんだブルー・チャコールあたりを軸にすると、どれを組み合わせても大きく外しません。
同系色でまとめる
ベージュのトップスに生成りのパンツ、といった同系色の重ね方は、ナチュラル系らしい穏やかな印象になります。ただし全身が同じ明るさだと平坦に見えるため、どこか1か所に濃い色を入れると立体感が出ます。
差し色は小物で
くすんだ赤や深い緑を服で取り入れると難易度が上がります。革のベルト、ウールのストール、かごバッグといった小物で足すほうが、失敗の幅が小さくなります。
足元の選び方
ナチュラル系は足元でだらしなく見えるかどうかが決まりがちです。革のバレエシューズやレザーサンダル、厚底ではないローファーあたりを合わせると、全体が締まります。スニーカーを合わせるなら、ソールが薄いキャンバス地のものが馴染みます。
季節ごとの組み立て方
ナチュラル系は季節の移り変わりが服装に出やすいスタイルです。素材を入れ替えるだけで印象が変わるため、年間を通した組み立てを考えておくと買い物の順番が決まります。
春
薄手の羽織りが主役になります。コットンのシャツワンピースを羽織りとして使い、下に無地のカットソーとパンツを合わせる形は、この季節らしい軽さが出ます。まだ肌寒い日は薄手のコットンカーディガンを重ねます。
夏
リネンの季節です。リネン100%のワンピースやリネンのワイドパンツは、通気性の高さがそのまま快適さにつながります。日差し対策にはつばの広いリネンハットや綿麻の薄手ストールが使えます。汗をかく季節なので、家で洗える素材かどうかを購入時に確認しておくと安心です。
秋
ウールとコットンが混ざる時期です。コーデュロイのスカートやミドルゲージのニットを軸に、夏物のリネンシャツを重ね着で活かすと、手持ちの活用期間が延びます。色をベージュやカーキ寄りに寄せると季節感が出ます。
冬
アウターの素材で印象が決まります。ウールのメルトンコートやキルティングジャケットは、ナチュラル系のゆったりしたシルエットと相性が良い選択です。中に厚手のニットを着る前提でサイズを見ておくと、真冬に着られないという事態を避けられます。足元は革のショートブーツがあると、全体が引き締まります。
季節をまたいで使えるコットンリネンの混紡アイテムを1枚持っておくと、春と秋の端境期に困りません。1着で対応できる期間が長いぶん、結果的に費用対効果も高くなります。
ナチュラル系の中にもある方向の違い
ひとくちにナチュラル系と言っても、実際には方向がいくつかに枝分かれしています。自分がどれに近いかを知っておくと、店選びが楽になります。
| 方向 | 雰囲気 | よく使われる素材 |
|---|---|---|
| リネン主体の大人ナチュラル | 落ち着いた色数で、都会的な洗練を残す | リネン、コットンリネン、コットンツイル |
| ゆるふわ・やわらかナチュラル | ギャザーやフリルで柔らかさを出す | ガーゼ、コットンローン、ローゲージニット |
| 手仕事・染めナチュラル | 藍染めや手編みなど、作り手の痕跡を楽しむ | インディゴ染めコットン、ウール |
| ミニマル寄りナチュラル | 装飾を削ぎ落とし、無地と直線で構成する | コットンブロード、太番手の天竺 |
同じ「ナチュラル」を掲げていても、この4つは印象がかなり異なります。複数の方向を混ぜると、まとまりを欠いた印象になりやすいため、まずはひとつに軸を定めるのが近道です。
よくある質問
Q. ナチュラル系は年齢が上がっても着られますか
A. むしろ年齢を重ねてから馴染むスタイルです。ポイントは素材の質を上げることと、シルエットを丁寧に選ぶことです。全身をゆったりさせず、どこか1か所を体に沿わせると、落ち着いた印象になります。
Q. 部屋着に見えてしまいます
A. 素材と足元を見直してください。スウェット地やジャージ素材が混ざると一気に部屋着に寄ります。ハリのあるリネンやコットンツイルに替え、足元を革靴にするだけで印象が変わります。髪をまとめる、アクセサリーを1つ足す、といった小さな要素も効きます。
Q. リネンのシワはどうすればいいですか
A. リネンはシワが入る素材です。完全に取ることを目指すより、乾かし方で軽減する方向が現実的です。脱水を短めにし、湿ったうちに手で叩いて形を整えて干すと、乾いた後のシワが目立ちにくくなります。どうしても気になる場合はコットン混を選んでください。
Q. 手持ちの服が全部きれいめです。何から買えばいいですか
A. ボトムスを1本足すのが分かりやすい方法です。リネンのワイドパンツやコットンのギャザースカートがあれば、手持ちのシンプルなトップスと合わせるだけで方向が変わります。トップスから変えると上下がちぐはぐになりやすいためです。
Q. 予算が限られています
A. ベーシックなカットソーやインナーは手に取りやすい価格帯のもので揃え、羽織りやワンピースなど印象を決める1着に予算を寄せると、全体の見え方が整います。着る回数の多いものに厚く配分するのが基本の考え方です。
Q. 洗濯で縮んでしまいました
A. 天然素材は洗濯で縮むことがあります。ウールの場合、縮んだものを完全に戻すのは難しいため、購入時に洗濯表示を確認し、指定された方法で洗うことが最善の対策になります。心配な場合は、水洗いできる表示のあるものを選んでください。
まとめ
ナチュラルファッションのおすすめブランドと、選び方の要点を整理します。
- ネストローブ:国内自社工場でのスローメイド。リネンを軸にした洗練された一枚
- サマンサモスモス:全国の商業施設で試着しやすく、価格帯も手に取りやすい
- 45R:藍染めと糸づくりから。経年変化を楽しむ方向
- アース ミュージック&エコロジー:ナチュラルとトレンドのバランス型
- 無印良品:無地のベーシックを土台として組み合わせやすい
ナチュラル系で失敗しないコツは、全身をゆるくしないことと、素材にコントラストをつけることの2点に尽きます。まずはボトムスを1本、または羽織りを1枚だけ加えて、手持ちとの組み合わせを試してみてください。



