気温が変わってきたので衣替えをしようと思う方も多いでしょう。ただ、いつやるのが正解なのか、どこまでやればいいのかがはっきりしません。とりあえず全部出して、疲れて、結局同じものをしまい直しただけで終わってしまう、ということも起こりがちです。衣替えがつらい作業になっている方は少なくないと思います。
この記事では、衣替えの時期の目安と手順、そしてしまっている間に衣類を傷めないための収納のコツを整理します。防虫剤の選び方と置き方、除湿剤の位置、圧縮袋を使ってよい服とそうでない服についてもまとめます。ここを押さえておくと、次のシーズンに出したときのがっかりが減ります。

衣替えの時期は気温で判断する
カレンダーより気温を見る
季節の変わり目には幅があるので、日付で決めるより気温を目安にしたほうが実際の生活に合います。一般的には、最高気温が20℃を下回るようになったら秋物へ、15℃を下回るようになったら冬物へと切り替える目安とされています。春はこの逆で、20℃を超える日が増えてきたら薄手へ移行していきます。
| 切り替え | 気温の目安 | 出しておくもの |
|---|---|---|
| 夏物から秋物へ | 最高気温20℃前後 | 薄手のニット、長袖シャツ、羽織りもの |
| 秋物から冬物へ | 最高気温15℃を下回る | 厚手のニット、コート、防寒小物 |
| 冬物から春物へ | 最高気温15℃を超える日が続く | 薄手の羽織りもの、明るい色のトップス |
| 春物から夏物へ | 最高気温25℃前後 | 半袖、麻や薄手の綿 |
一気に入れ替えず、二段階で
季節の変わり目は気温が上下します。全部を一度に入れ替えると、寒い日に着るものがなくなります。先に「移行期用」の服を手前に出し、本格的な入れ替えは気温が安定してからという二段階にすると、失敗しません。
晴れて乾いた日を選ぶ
湿度の高い日にしまうと、湿気ごと閉じ込めることになります。数日晴れが続いたあとの、空気が乾いている日に作業するのが理想です。
作業日を分けるのもおすすめです。1日目に洗濯とクリーニングの手配、2日目に収納します。一度に全部やろうとすると、途中で力尽きて中途半端になりがちです。
衣替えの手順
1. 全部出して、種類ごとに分ける
クローゼットや引き出しから該当する季節の服を出し、トップス・ボトムス・アウター・小物に分けます。この段階で、持っている量が見えます。
2. しまう前に必ず洗う
ここが最も重要です。見た目にきれいでも、汗や皮脂、食べこぼし、日焼け止めの成分が残っています。残った汚れは、時間が経つと黄ばみに変わり、虫を呼び寄せます。一度でも袖を通した服は、しまう前に洗うかクリーニングに出してください。
家庭で洗えるものはおしゃれ着用の中性洗剤で洗い、しっかり乾かします。半乾きのままでは、カビの原因になります。家で洗ってよいかどうかは洗濯表示で判断できるので、記号の意味は消費者庁の洗濯表示のページで確認しておくと安心です。桶の記号に×が付いていたら、家庭では洗わずクリーニングに出してください。
3. 仕分けをする
洗いながら、来シーズンも着るかを判断します。傷んでいるもの、サイズが合わないもの、2シーズン着なかったものです。ここで分けておくと、しまう量が減って収納がラクになります。
着ないと判断した服は、そのまま袋に入れて次の行き先を決めます。リユースショップ、フリマアプリ、店舗や自治体の回収など、選択肢は複数あります。長く着る、直して着る、譲る、回収に出すという流れは環境省がまとめている行動の一覧にも整理されているので、判断の参考になります。
4. たたむか吊るすかを決める
ニットやスウェットのように重い編み地のものは、吊るすと自重で肩が落ちます。たたんで平積みが基本です。シャツやジャケット、コートは吊るしてシワを防ぎます。形を保ちたいものは吊るす、伸びを防ぎたいものはたたむと覚えておくと迷いません。
5. 収納して、防虫剤と除湿剤を置く
収納したら、最後に防虫剤と除湿剤をセットします。ここに、次の章で書く注意点があります。

防虫剤は種類と置き方で効き方が変わる
4つの種類がある
家庭用の衣類防虫剤は、大きく4種類に分かれます。
| 種類 | 特徴 | 他と混ぜられるか |
|---|---|---|
| ピレスロイド系(エンペントリン) | においがほとんどない。使いやすい | 他の種類と併用できるとされる |
| しょうのう(樟脳) | 独特の香り。古くから使われる | 他の3種のうち別の1種と混ぜない |
| ナフタリン | 効き目が長く続く | 同上 |
| パラジクロロベンゼン | 効き始めが早い | 同上 |
しょうのう・ナフタリン・パラジクロロベンゼンのうち2種類を一緒に使わないでください。混ざり合うと成分が溶けて液状になり、衣類にシミや変色を作ることがあります。ピレスロイド系は他と併用できるとされていますが、判断に迷うなら1種類に統一しておくのが安全です。また、種類にかかわらず、防虫剤が衣類に直接触れているとシミの原因になるため、少し離して置いてください。防虫剤の使い方の注意点は国民生活センターの解説にまとまっているので、使用量と換気についても目を通しておくと安心です。
置く場所は「上」
防虫成分は空気より重く、上から下へ広がります。そのため、防虫剤は衣類の上に置くのが基本です。引き出しの底に敷いても、成分が上まで届きません。ハンガーに吊るすタイプなら、衣類の間に均等に配置します。
除湿剤は「下」
湿気は下にたまるため、クローゼット用の除湿剤は収納の下のほうに置きます。防虫剤は上、除湿剤は下に置きます。この配置を覚えておくと迷いません。除湿剤は水がたまったら交換するタイプが多いので、シーズン中に一度は様子を見てください。
衣類を食べるのは、ヒメマルカツオブシムシなどのカツオブシムシ類と、イガ・コイガといった虫の幼虫です。とくにウールや絹といった動物性の繊維が狙われます。成虫は洗濯物や花に付いて室内へ入ってくることがあるため、取り込むときに払う、帰宅後にブラシをかけるといった習慣も効きます。
圧縮袋は「使ってよい服」を選ぶ
収納スペースを一気に節約できる圧縮袋ですが、すべての服に使えるわけではありません。
向いていないもの
- ウールやカシミヤのニット:繊維がつぶれて、ふくらみが戻りにくくなります
- ダウン・羽毛:中の羽が折れると、かさ高と保温の性能が落ちます
- シルクやリネン:深いシワが残りやすい素材です
- 型を保ちたいジャケット類:立体的な仕立てが崩れます
比較的向いているもの
綿や化学繊維のTシャツ、タオル、シーツ、シワが気にならない普段着なら、圧縮しても影響は小さめです。それでも、長期間強く圧縮したままにすると、生地の傷みやシワの定着につながります。
湿気を閉じ込めない
圧縮袋の最大の落とし穴は、湿ったまま密閉してしまうことです。完全に乾いた状態で入れることが前提になります。心配なら、圧縮ではなくふた付きの衣装ケースや通気性のある不織布の収納ケースを使うほうが、衣類にとっては優しい選択です。


収納のコツ
詰め込みすぎない
ぎゅうぎゅうに詰めると風が通らず、湿気がこもってカビの原因になります。収納の容量は8割程度にとどめるのが目安です。取り出すときのストレスも減ります。
中身が分かるようにする
透明なふた付きの衣装ケースを使うか、外側にラベルを貼っておくと、次のシーズンに探し回らずに済みます。「冬物ニット」「厚手アウター」と書いておくだけで十分です。
使う頻度で置き場所を決める
出番の多いものは取り出しやすい高さに、シーズン外のものは上の棚や下の引き出しへ移します。クローゼット用の吊り下げ収納を使うと、上下の空間を無駄なく使えます。
コートやジャケットは肩を守る
重いアウターを細いハンガーにかけると、肩に跡が残ります。肩に厚みのあるハンガーに替え、ほこりが気になるものは不織布のカバーをかけておくと安心です。ビニールのカバーは湿気がこもるため、長期保管には向きません。
衣替えのついでにやっておくと得すること
クローゼットの中を掃除する
服を全部出したタイミングは、収納の内側を掃除する数少ない機会です。棚板や引き出しの底にたまったほこりは、虫の発生源になります。乾いた布で拭き、しっかり乾かしてから服を戻してください。湿った状態で服を入れると、それだけでカビの条件が整ってしまいます。
ハンガーの種類を揃える
ハンガーがばらばらだと、掛けたときの高さが揃わず、見た目にも散らかって見えます。厚みのあるハンガーに統一すると、肩の型崩れを防げるうえに、クローゼットの中が整って必要な服を見つけやすくなります。
傷みの点検をする
ボタンの緩み、ほつれ、小さな穴は、しまう前に見つけておけば、次のシーズンまでに直せます。着ようとした日に気づくと、その日は着られません。
次に買うものを書き出す
全部出したときが、手持ちを最も正確に把握できる瞬間です。足りないものをメモしておくと、セールの時期に迷わず選べます。記憶ではなく記録に残すのがポイントです。
よくある質問
Q. クリーニングから戻った服は、そのままの袋でしまってよいですか
かけられているビニールは、持ち帰るためのものです。長期間そのままにすると湿気がこもるので、外してから収納し、必要なら通気性のある不織布のカバーに替えてください。
Q. 防虫剤の交換時期はどう判断すればよいですか
製品によって有効期間が違うので、パッケージの表示を確認してください。多くは半年から1年ほどで交換する設計です。開封日をラベルに書いて貼っておくと、次に迷いません。
Q. 虫に食われた穴を見つけたら、どうすればよいですか
まず、同じ収納に入っていた他の服も確認します。小さな穴なら、かけつぎ(かけはぎ)という修理を扱う専門店で目立たなくできる場合があります。大切な一着なら、自分で処理する前に相談するほうが結果はよくなります。
Q. 衣替えの必要がない収納にはできますか
収納量に余裕があれば、季節ごとに手前と奥を入れ替えるだけで済ませる方法もあります。ただし、長期間しまう服には防虫と除湿が必要なので、季節の節目に点検する習慣は残しておくのが安全です。
Q. 収納する前のクリーニング代を抑える方法はありますか
家庭で洗える表示のものは自分で洗い、洗えないものだけ依頼するのが基本です。まとめて出すと割引がある店舗もあります。ただし、判断に迷う素材まで自分で洗うのは避けてください。失敗したときの損失のほうが大きくなります。
Q. 一人暮らしで収納が少ない場合、どう工夫すればよいですか
ベッド下や棚の上といった空間を使うのが基本です。ふた付きの衣装ケースを積み重ねられるタイプで揃えると、限られた面積でも縦に伸ばせます。ラベルを貼って中身を書いておけば、奥のケースでも探さずに済みます。それでも入り切らない場合は、そもそも持つ量を見直すか、外部の保管サービスを検討する形になります。
Q. 防虫剤のにおいが服に移ってしまいました
風通しのよい日陰に数時間から半日ほど吊るしておくと、においが抜けることがあります。急いでいる場合でも、直射日光に当てるのは色あせの原因になるので避けてください。においが気になる方は、次回からにおいのほとんどないピレスロイド系を選ぶという方法もあります。
Q. 衣替えをする体力も時間もありません。最低限これだけは、というものはありますか
優先順位をつけるなら、「一度でも着た服を洗ってからしまう」ことと「完全に乾かすこと」の2つです。この2つさえ守れていれば、収納方法が多少雑でも、次のシーズンに大きな問題が起きる可能性は下がります。防虫剤と除湿剤を置くのはその次で、動物性の繊維から優先して守ってください。
まとめ
衣替えの時期は気温で判断し、やり方は「洗ってからしまう」を軸に組み立てます。収納のコツは、防虫剤と除湿剤の置き方に集約されます。
- 秋物は最高気温20℃前後、冬物は15℃を下回るころが目安
- 一度に全部入れ替えず、移行期用を手前に出す二段階で
- しまう前に必ず洗い、完全に乾かす
- 防虫剤は衣類の上、除湿剤は下。種類は混ぜず、1種類に統一が安全
- 圧縮袋はウール・ダウン・シルクには向かない
- 収納は8割まで。詰め込むと湿気がこもる
衣替えは面倒な作業ですが、次のシーズンに気持ちよく着られるかどうかがここで決まります。晴れた日を選んで、少しずつ進めてみてください。


